解雇トラブル

正社員だからといって、定年まで保証される時代は終わりました。
不当解雇、整理解雇、懲戒解雇、退職勧奨、いじめ、賃金の引下げ、退職願をうっかり書いてしまった等、職場のトラブルは絶えません。
正しい知識をしっかりと身につけて、自分自身を防衛しましょう!


 

職場のトラブル事例

 
 正 社 員 編  

 

   
       
<整理解雇は不当解雇?>

事例  Aさんは従業員20名のB社に勤める営業マンである。朝出勤したところ、社長から「会社の経営悪化による人員整理のため、来月末で解雇する。」と突然言われた。
会社の業績が悪いのは知っていたが、いきなり解雇とは。それに営業マン8人のうち、解雇を言われたのはAさんを入れて3人だが、Aさんと同年代で、営業成績がAさんより悪いCやDは解雇を言われておらず、この点についてもAさんは納得が行かない。        

対策  B社が行った整理解雇は有効でしょうか。企業は業績が悪いからと自由に従業員を解雇出来る訳ではありません。過去の裁判例等から、整理解雇には4つの要件が必要とされています。事例を分析すれば
①人員削減の必要性があるか。
②社員を配置転換させる、希望退職を募る等、解雇を回避する努力をしたか。
③解雇者の選定基準は公平で合理的なものか。
④解雇の前に労働者や労働組合に十分説明したり協議したりしたか。
と言った点が問題になります。この事例では解雇は無効と判断されると思います。 


                       


       <退職勧奨>           
事例  H社に勤務するGさんは、上司や同僚から度重なる退職勧奨(肩たたき)やいじめを受け、ノイローゼ状態となってしまい、退職届を出して退職した。
そして退職金を受領したが、金額が予想よりかなり低いので総務部に問い合わせたところ、「Gさんは自己都合退職なので、就業規則の退職金支給規定により、会社都合退職の半分となります。」との回答を受けた。

  

対策  Gさんの退職理由が会社都合と認められる余地は、十分ありますね。
但し、争いになるとH社もGさんへの退職勧奨やいじめの事実を否定する可能性があり、Gさんとしては退職勧奨やいじめの事実を証明できる資料(録音テープや日時、場所、内容を記載した手帳等)や同僚の証言等が必要となるでしょう。
また、GさんはH社に対し、退職の理由が何であるかを明らかにする
退職の事由についての証明書を請求出来るので、退職理由が何であるかを必ず確認すべきです。
事例のように、自己都合退職の場合、退職金の額が会社都合退職の時より少なくなる事が多く、また、雇用保険の基本手当についても受給額が少なくなり、受給の時期も遅くなってしまいますので、
退職の理由が不明確な時は、特に注意しましょう。
  
  
        <懲戒解雇と退職届の撤回>
事例  JさんはK社に勤務する営業マンだが、先日Jさんの重大なミスにより、大切な得意先を失ってしまった。そして、昨日上司のIに呼ばれ、「このままでは、社長の怒りは収まらない。懲戒解雇も免れない。そうなると退職金も出ないし、次の就職先も見つからないだろう。退職願を出した方がいい。そうすれば自己都合退職扱いになる。」と言われ、懲戒解雇では大変だと思い、言われるまま退職願を出してしまった。
しかし、いま冷静になって考えると、退職願を出さないと本当に懲戒解雇になったのか、疑問に思う。


対策  懲戒解雇は、懲戒処分のうちでも最も重い処分であり、就業規則等にどのような場合に懲戒解雇が出来るのかが明記されてなければなりません。また、労働者にとっても懲戒解雇になれば通常は退職金の支給がなく、再就職も容易ではないなど、受けるダメージは甚大であり、①窃盗、横領、傷害等の刑法上の犯罪を犯したとき ②長期間無断欠勤したとき ③重大な経歴詐称があったとき等かなり限定したケースにしか認められていません。
Jさんの重大なミスが故意によるものであればともかく、本人の不注意によるものであれば、懲戒解雇が認められる可能性は低いでしょう。。

なお、退職届を撤回することは可能ですが、退職届が人事部長等の責任者まで渡ってしまった場合、撤回するのはかなり困難な状況になってしまいます。退職届を出すのは最後の最後で良いのです。冷静になり、熟慮の上で退職届を出すべきです。

   
       <賃金引下げ>

事例  Lさんが勤務するM社では、不況による業績不振のため、一律給料を20%引下げる事になり、就業規則が変更された。Lさんは会社が一方的に給料を下げるのはひどいと思い、先輩Nさんに相談したが、「就業規則は従業員の代表の意見を聞けば変更できるので、仕方ないんだ。」という返事だった。しかし、Lさんは納得できない。

 

対策  確かに使用者は、労働組合や労働者の代表の意見を聞くだけで、就業規則を作成したり、変更することは可能ですが、だからと言って一方的に会社に都合のよい就業規則を作成、変更できるのではありません。特に事例のような、労働条件の最も大切な賃金の大幅な不利益変更は、企業の存続自体が危ぶまれたり、現状のままでは、経営危機による雇用調整が予想される等かなり限定された状況でないと、原則認められません。
M社は、従業員に対し、会社の状況、他にどんな対策を講じたのか、どうしても給料を引き下げなければならないのか、代償措置はあるのかと言った点を具体的に説明し、了解を得られる様にしなければなりません。

  
       
<有給休暇の取得>          
事例  Oさんは、10年間勤めたP社を今月末で退社することになっている。今まで業務多忙で殆ど休暇も取れなかったため、来週から10日間の有給休暇を上司Qに申請したところ、「来週も忙しい。それに引き継ぎもあるし休暇なんて無理。休むなら欠勤扱いにする。」と全く聞く耳を持たない。
  
対策  年次有給休暇は要件を満たせば(基本的に入社時6ヶ月間に全労働日の8割以上、その後は1年ごとに全労働日の8割以上出勤することが必要)、当然に生じる権利で、会社の承認は必要ありません。
しかし、会社としても一度に沢山の労働者が休暇を取ると、事業の正常な運営が困難となるため、休暇を別の日に振り替えることができる
時季変更権という権利があります。
しかし、この権利は
誰が見ても労働者にその時に休まれたら、会社は正常な運営が困難であるとき等にしか認められず、単に忙しいというだけでは行使できません。
従って、P社はOさんの有給休暇を妨げたり、欠勤扱いにすることは困難でしょう。
なお、Oさんが全く引継ぎをせずに、残っていた有給休暇を消化して退職してしまうと、P社とトラブルが生じる恐れもありますので、引継ぎはしっかり行うべきですね。



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